ドルとゴールド(貴金属)のイメージ画像

ドル安で金(ゴールド)が上がるのはなぜ?金利と貴金属の意外な関係を解説!

はじめに

貴金属投資家の皆さん、こんにちは。金と銀は、不確実性の高い時代において、インフレヘッジや安全資産として注目されています。しかし、その価格は非常に不安定であり、投資家の心を揺さぶります。今回の記事では、この不安定な価格変動の背景にある主要な要因を、World Gold Councilのような専門機関のデータも参考にしながら解説します。金価格を理解する上で、まず重要となるのがファンダメンタルズです。これは、世界の金や銀の生産量、消費量、そして投資需要といった実際の需給を指します。


1. なぜドルが下がると金(ゴールド)は上がるのか?

この関係を理解する鍵は、金が**「ドル建て」で取引されている**という点にあります。世界の主要な商品市場では、原油や金、穀物などがすべて米ドルで価格付けされています。

例えば、金1オンス(約31.1グラム)が1,800ドルの時を考えてみましょう。

  • ドルが下落すると…
    • ドルの価値が下がるため、同じ量の金を買うためには、より多くのドルが必要になります。
    • 例えば、1ドルが100円から90円に下落した場合、ドルの価値は10%下がります。
    • この場合、金そのものの価値は変わっていなくても、ドル建ての価格は上昇する傾向にあります。これは、ドルの下落を金の価格上昇で相殺しているとも考えられます。

このように、金価格はドルの価値に対する「鏡」のような役割を果たしており、ドルが安くなれば金が相対的に高く見え、ドルが強くなれば金は安く見えやすいという関係が生まれるのです。


2. 金利が上がるとドルは高くなり、貴金属は下がる

もう一つ、貴金属の価格に大きな影響を与えるのが**「金利」**です。特に、米国の金融政策を決定するFRB(連邦準備制度理事会)の政策金利は、金利と貴金属の関係を理解する上で非常に重要です。

投資家は、FRBが次に利上げをするか、利下げをするか、あるいは現状維持かを常に予測しています。この予測ツールとして広く使われているのが、CME FedWatch Toolです。このツールを見ると、市場がどの政策を最も織り込んでいるか一目で分かります。

  • 金利が上がると…
    • 預金や債券などの「利子が付く資産」の魅力が向上します。
    • 金利の高いドル資産に世界の投資家の資金が流入するため、ドルの価値が上昇します。
    • 一方、金は**「利子を生まない資産」**です。そのため、金利の高いドル資産に比べて、金への投資の魅力が相対的に低下し、金価格は下落しやすくなります。

これは、金とドルの間に**「逆相関」**の関係が生まれることを意味します。金利が上がればドルの価値が上がり、金は売られやすくなります。逆に、金利が下がればドルが弱くなり、利子を生まない金の魅力が相対的に増して、買われやすくなるのです。


3. ドル・金利・貴金属の複雑な関係を理解する

ドル・金利・貴金属の三者関係は、常に教科書通りに動くわけではありません。地政学リスクやインフレ、株式市場の動向など、様々な要因が複雑に絡み合っています。しかし、初心者としてまずこの「ドルと金の逆相関」と「金利とドルの正相関」という基本的な関係を理解しておくことは、市場を読み解く上で非常に役立ちます。

投資を始める際は、これらの基本を抑えつつ、世界的なニュースや主要な経済指標をチェックする習慣をつけることが重要です。

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